ハワイの車椅子事情
車椅子の友人とハワイを旅して

 5月13日から18日までの予定でハワイへ行って来ました。車椅子を使用されている友人と同行して、カシマシ娘4人の珍道中となりました。今回のたびはいつもと違い非常に良い勉強になりました、というのは車椅子を使用して旅行することについて、知らないことがあまりにも多かったからです。

 日本という国がこんなにも保守的で遅れているのかと、それに比べ自然に受け入れてくれるハワイ(アメリカ)との違いには考えさせられるものがありました。 同行した介護の人が心のバリアフリーの問題でしょうねと言った言葉が印象的でした。

 友人はリュウマチで、車椅子を使用しているのですが、それだけで、旅行の申し込みの時から私達よりも提出書類が多く、障害の内容を一人一人考えるのではなくて、どの障害も同じ書類を使用し必要のない質問事項も多岐にわたり、非常に不満を持ちました。病院の診断書を提出し、プロフェッショナルの介護の方が付き、御迷惑は一切かけません、これだけで充分だと思うのですが・・・。

 出発にあたり先ず驚いたのは新宿駅のホーム(成田エクスプレス発着ホーム)に下りるエレベーターがないということ、駅員さんが非常に親切に二人がかりでエスカレーターで下ろしてくださいましたが、エスカレーターだと体が斜めになり、首にかかる力が障害によっては辛いということでした。

 成田の空港ターミナル駅も駅員さんが降車号のところまで迎えに来てくださり混雑した出口を避けてエレベーターまで案内してくださいました。こちらはエレベーターがあったので出発ロビーまで難無く行くことが出来ました。旅行会社を通じてリクエストをした通りになっているかどうか、少し不安があったのですが、リクエスト通りに搭乗口まで本人の車椅子を使用する事が出来ました。空港の関係者の方が搭乗ゲートまで車椅子を押して案内してくださり、搭乗の時間になると又来てくださって一番に搭乗することが出来、座席まで案内してくださいました。飛行機の搭乗口からは飛行機内でも移動できる少し小さめの車椅子に変わります。座席もトイレに近いところになっていました。

 ホノルル空港についたら飛行機の中までかかりの人が迎えに来て下って、特別のゲートから友人はハワイ〈アメリカ〉に入国となりました。ハワイに入ってからは車椅子だから困るといったことは一切なかったように思います。ホテルはいうまでもなく出入りも部屋の中も全てバリアフリーで、何の不自由もありませんでした。

 先ず道路は信号の所が必ずバリアフリーになっているし、何の障害物(放置自転車)などもなくスムースでした。
 夕食のためにバイキングのレストラン(高級ではありません)に行ったのですが、お店の方が私達をみてにっこりと笑って、軽々とお店のカウンターをずらし中に導いてくれました。中にはなんと車椅子マークのついたテーブルまであり、高さも丁度よく驚きました。日本レストランでこんなテーブル見たことないですよね、何だかそれだけでウキウキし、楽しい食事になったのは云うまでもありません。日本の場合は劇場でもレストランでもカフェーでも、車椅子ですが大丈夫でしょうか?ときいていたのがうそのようです。

 トイレ事情の良さにも驚きました、と言ってもこれが当たり前だとは思うのですが、ハワイではトイレのある所には必ず車椅子用があり、それも日本のようにいかにもここが車椅子用ですよと別のところに設置されているのではなくて、普通に普通の所に横並びで設置されているのです。日本ではホテルでさえも車椅子用がなかったり和式のトイレだけだったりと聞いて、改めて驚かされました、友人曰くトイレの心配をしなくてもいいから、安心して好きなだけ飲んだり食べたり出来たとの事、それだけでも旅の楽しさが倍加したことはまちがい無しですよね。

 観光は時間的にゆっくりと、座席はゆったりと、とおもいリムジンを予約しました、申し込みの時には、私達だけのように聞いていたのにもうひとグループ同乗するということになり、約束が違うと文句を言おうと思ったら、そちらも御家族のお一人が車椅子を使われているということで、かえって集合の時間など、お互いに気を使わなくても良いしと、一転して和気藹々の観光となりました。車椅子が2台になり、運転手さんが急遽応援を要請したら、なんと社長さん自ら出向いてくださり、観光地での乗降車の度の車椅子の出し入れから全て手伝ってくださり又ウキウキでした、親切な運転手さんのお名前は小池さんとおっしゃって日本人の方でした。


 次の日も2・3箇所の観光にホテルの前に止まっているリムジンのタクシーを頼みました、運転手さんは移民の方か現地の方だと思いますが、あまりにも自然にお手伝いをしてくださるので、ありがとうの言葉は自然に出ましたが、すみませんという言葉は忘れていました。


 帰る日の前日は、サンセットを見るために出かけたのですが、ベストポジションまで送ってくださり、太陽が沈んだ頃を見計らって迎えにきてくださり、何の心配もせず私達は美しいサンセットを堪能することが出来ました。これは普通のタクシーでした。

 カラカウア通り等を散策していて他人の目線が気なったのは殆どが日本人の観光客でした。 


 何度もハワイに行きながら一度も障害者の目線で物事を見たり考えたりしたことがなかったのが大きな反省点でした。
 日本もこれからは高齢化社会になり、障害者に加えて車椅子を使用される方も増えてくる事が予想され、残り少ない人生を何か社会のお役にたちたいと漠然と考えていた私にとって、少し道しるべが見えてきた気がして実り多いたびでした。
 友人に感謝感謝です。

歩道にある自転車置き場。自転車の形をしたオブジェ(写真中央)にチェーンをからめて自分の自転車を止めるようになっている。これに絡めることができる台数が駐輪のリミットのようです。こうして歩道に対して縦てに駐輪してあると車椅子の走行の邪魔になることもないのです。(写真は一緒に旅をしたサクラさんのご提供です。)